坂と海と浮浪者と

朝7時半に起床。1時間ほどで身支度を終え、部屋を出た。エクスカリバーとはここでお別れである。

次の目的地はサンフランシスコ。マッカラン空港を11時半に飛び立つ便に乗る予定なので、9時半には空港に着きたい。バス・Deuceと#109を乗り継いで、無事に空港に着いた。

2回目の国内線、利用するのはユナイテッド航空だ。ロスを発つ時の日記に書いたように「受託手荷物を預ける」ことが一つのミッションになるわけだが、ロスと同様にマッカランにおいてもセルフチェックインカウンターを利用することができる。このマシンを使えば、クレジットカードを挿して簡単な入力を進めるだけで受託手荷物の手続きから何からあっという間に終わる。アメリカの国内線は日本のそれ以上に多種多様な人間が利用するから、多言語に対応したマシンが発達しているのももっともなことなのだろう。

11時に搭乗開始。ユナイテッド航空の機材はデルタ航空より古くはなかった(新しくもないが)。どうも疲れているようで、飛行機の中はずっと寝ていた。2時間ほどしてサンフランシスコ国際空港に降り立った。

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空港から鉄道「BART」に乗ってダウンタウンまで行く。

時刻は13時半。これはなにをするにも中途半端な時間だった。フィッシャーマンズ・ワーフで昼飯を食べ、ゴールデン・ゲート・ブリッジを見に行くつもりだったが、どちらか一方しか選べそうにない。前者はサンフランシスコのマスコット的存在であるケーブルカーに乗ることができるので、そちらを選ぶことにした。

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ケーブルカーは路面電車のようだが、「ケーブル」と呼びながら車両の上に電線が走っていない。いったいなにを動力にしているのだろう。その割にサンフランシスコの急な坂道を(サンフランシスコは「坂と海の街」と言うほど坂道だらけである)ぐいぐいと登っていく。感心するほどの馬力である。

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ケーブルカーに揺られながらパウエル・ストリートを進み、15時にフィッシャーマンズ・ワーフに着いた。

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海岸沿いをぷらぷらと歩く。穏やかな海風が心地よい港町だ。15時を過ぎているが、朝から何も食べていない僕にとっては昼飯時である。世界の歩き方に載っている「Crab House at Pier 39」には日本語メニューもあるらしい。フィッシャーマンズ・ワーフの看板にカニが描かれているようにこの町はイチョウガニが名物で、「Crab House at Pier 39」ではカニ料理を食べることができる。他に行くアテも無かったのでそこへ足を運ぶことにした。

カウンターに通され、日本語付きのメニューを見せられたが、なにが良いのかイマイチよくわからなかったので、イケメンのボーイに「Which food do you recommend?」と聞いてみた。ボーイは丁寧に、カニのガーリック&オリーブオイルソテーと、カニのクラムチャウダーがおすすめだと教えてくれた。言われるがままにその2つを注文。どちらも美味かったが、カニの食べ方がよくわからず、オイルで手がベタベタになってしまった。チップ込みで50ドル。大きな出費となった。

ケーブルカーで来た道を戻り、ダウンタウンへやって来た。この時点で17時近かったが、どうしてもゴールデン・ゲート・ブリッジを見たかった僕は、ブリッジ行のバスが発着するテンポラリー・トランスベイターミナルをとりあえず訪れた。帰りがどれだけ遅くなるだろう‥いや、行けるところまで行ってみるのだ‥そう思いながら、バスを待ってみる。しかし、いくら待てども一向にバスが来る気配がない。そもそも時刻表らしきものも貼られていないので、これ以上は無理だ、といよいよ退散。そこから西へ30分ほど歩いて、ホテルを目指した。

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サンフランシスコの2日間に泊まる場所は、ホテルというよりゲストハウスのようなものである。前の2日間の、観光客が泊まるような場所とは少し性格が違うので、フロントのお姉さんの英語もかなり聞き取りづらい。というか、なにを言っているのかほとんどわからない。テキトウに相槌を打ってチェックインした。

サンフランシスコは、ダウンタウンの中でもフィナンシャル・ディストリクトのようなオフィス街でなければ、浮浪者がかなりうろついていて、怖い。空気も臭い。ずっと緊張が続いていて、自分のベッド(自分の部屋は2段ベッドが3つ設置されていて、6人が寝泊まりできる。僕は2段ベッドの上段を充てがわれた。この日は満員だった)に横になるなり、ぐっすりと寝入ってしまった。

22時前、ハッと起きると、いつの間にか僕のほかに数名の外国人が部屋にいた。彼らはお互いになにかを喋っているが、まったく内容が掴めない。とりあえず飲み物だけでも買わねばと、外に出た。近くにファーマシーがあって、そこでクリスタルガイザーと小袋に入ったナッツを買った。サンフランシスコのよくわからない雰囲気の”何か”に圧倒されて、結局夕飯を食べることができず、部屋に戻ってナッツを食べるしかなかった。

メモ帳に1日の日記を書いていると、外国人の1人が話しかけてきた。あいかわらずなにを言っているのかまったくわからないので「I speak English a little」と言ってみた。すると彼は、部屋の壁にある電灯のスイッチをカチカチとやっている。おそらく、君が書き物を終われば部屋の電灯を消すのだが、とでも言っているのだろう。僕は慌てて、すぐ寝るからと伝え、シーツに潜った。慌ただしいサンフランシスコの1日目が終わった。

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