ごぶさたしております。晩白柚です。
前回の記事が1月ですので4か月もお休みをいただいてしまいました。この期間はほとんど死んでいまして、社会保険労務士の資格の勉強をしているというのは既報のとおりですが、その勉強も大幅に停滞してしまいました。
社労士の試験は次の8月末、いよいよ残り3か月となったわけですが、どうにかこのどん底の生活から脱却しなければという思いがふつふつと沸き立ち、ふたたび机に向かい始めたところであります。
昨年11月から断続的にお話ししているフランス一人旅についても、一応の完結を見なければ死ぬに死ねませんので、今日からまた懲りずに更新していく所存です。
前回の記事で旅は折り返し地点に差し掛かり「次回は市民税と戦います」と書きました。本記事のタイトルからなんとなくお察しですが、この日の朝に支払ったものの秘密が夕刻に明かされるという壮大なストーリーとなっております。
僕は一体何を払わされているの?
3つ星ホテル「オーベルジュ・サン・ピエール」に泊まったモン・サン・ミッシェル。朝7時の修道院の鐘で目が覚めました。
この日はパリ市内に戻り、オルセー美術館などを訪れようと思っています。起床早々に帰る支度を整えますが、その前にモン・サン・ミッシェルで遂行しなければならないミッションのため、僕は机に向かいます。
それは「島内の郵便局から日本に宛てて手紙を出す」ということ。モン・サン・ミッシェルから出した手紙には、島の形を模した消印が押されると聞いていた僕は、父・親友の檸檬・イトシマオの3人に宛てて、昨日修道院で買ったポストカードを出すことにしていたのです。
3人分の手紙をしたため、荷物を持ってホテルのレセプションへ向かいます。ホテルの代金は、Agodaで部屋の予約をした時にクレジットカードで支払っています。チェックアウトは難なく終わるはずでした。
「○×△□○×△□(フランス語)」
レセプションのお姉さんが言います。
「?」
「○×△□○×△□!!(フランス語)」
何を言っているのかまったくわからないので、僕は口を開けてぽかんとするしかないのですが、お姉さんはだんだん語気を強めてまくし立ててきます。
「???」
呆然としていると、お姉さんの後ろからホテルのドンとも言うべきおばあさんがずいと出てきて、一言。
「イチユーロ!」
「えっ?」
「イチユーロ!!!」
おばあさんが鬼の形相で、カタコトの日本語5文字を叫びます。僕はもう何が何だかわからないけど、とにかくここから逃げ出したい思いで、1ユーロを差し出しました。
最初からそうすればいいのよという顔で、「メルシー」と言うおばあさん。僕は最後の最後でモン・サン・ミッシェルが台無しになりそうな、沈痛な気持ちになってホテルをあとにしました。
TGVでパリへ
パリまでの復路は、レンヌ駅までバスで、そしてモンパルナス駅までTGVで向かいます。
途中、レンヌ駅構内の「valentin(バレンティン)」というパン屋さんで、エビアンとサンドイッチを5ユーロで買いました。サンドイッチにはバゲットの中にハムやチーズ、レタスが挟んであって、なかなか美味しかったです。
モンパルナス駅まで向かうTGVは2等車を選びました。日本の新幹線と同じような2列シートで、途中の駅で隣の席に若い男性が乗ってきました。15時ごろ、モンパルナス駅に着きました。
芸術の街、風俗の街 モンマルトル
モンパルナスからメトロに乗ってブランシュ駅に降り立ちます。ブランシュ駅の目と鼻の先にあるのが、かの有名な「Moulin Rouge(ムーラン・ルージュ)」です。
ムーラン・ルージュはパリを代表するキャバレー。キャバレーと言っても、日本のキャバレーなどとは違って、歌やダンス、フレンチ・カンカンを組み合わせたショーを観ることができる、パリを観光するなら必ず押さえておきたいスポットです。が、僕はお金がないので、外観を眺めるだけでその場をあとにしました。
ブランシュ駅から東に歩いて、隣のピガール駅を目指します。ブランシュ駅とピガール駅の間はパリ最大の風俗街になっていて、僕が日本人とわかるや否やあちらこちらから引き止める手が伸びてくるので、少し恐怖を感じてしまいました。しかし、キャッチのおっさんが卑猥な日本語を投げかけてくるので、僕は笑いが止まりませんでした。
ピガール駅からさらに東に向かい、アンヴェール駅から北の方角に体を向けると、モンマルトルの丘へ続く坂が現れます。ここが、ピカソやゴッホなど著名な芸術家が活躍し、芸術の街として有名なモンマルトルです。2001年のフランス映画「アメリ」の舞台でもあります。
モンマルトルの丘の上に、「サクレ・クール寺院」が建っています。メモしていないので定かではありませんが、たしか寺院内に入ることができたと思います。入場にはミュージアムパスが使えたはずです。
この寺院へ続く階段には、ミサンガ売りの詐欺集団がいることで有名です。何も知らずに歩いていると、いきなり腕にミサンガを巻きつけてきて、法外なお金を請求してくるのです。サクレ・クール寺院へ赴く際はこの階段を早足に駆け抜けましょう。僕はポケットに手を突っ込んでダッシュしました。
Résidence Villiersと明かされる1ユーロの謎
この日の観光をオルセー美術館で〆たいところですが、その前に今日の宿にチェックインし、荷物を置くことにします。「Résidence Villiers(レジデンス・ヴィリエ)」、ヴィリエール大通りにあるこの2つ星ホテルが、今日から2日間お世話になる宿です。
チェックインにあたり、人の好さそうなレセプションのおじさんと英語でささやかな会話をします。
「代金はすでに支払っていただいているね」
「イエス」
昨日までのホテルと同様、ここのホテルの代金についても、Agodaを通じてクレジットカードで支払っています。
「申し訳ないんだけど、他に0.99ユーロを支払ってもらわないといけないんだ」
「!?」
0.99ユーロを支払う?これは、今朝オーベルジュ・サン・ピエールでおばあさんから請求された1ユーロと同じじゃないか。いったいこれは何なんだ!?
するとおじさんは続けて、
「これはシティ・タックスなんだ。払ってもらっても、私の懐にはまったく入ってこない。市が潤うだけなんだよね」
と冗談を言うではないですか。つまり1ユーロは宿泊税だったのです。ようやく謎が解けた。僕は思わず笑ってしまいました。
部屋の内装は少し古めですが、掃除が行き届いていてとても居心地がよいです。シャワーを浴び、オルセー美術館へ向かう準備を整えました。
Résidence Villiers
【住所】68 Avenue de Villiers, 75017 Paris
【TEL】+33142271877
【ウェブサイト】http://www.hotel-residence-villiers.com
次回はフランス食に早速飽きた晩白柚がパリで日本食を探しますが、長くなりましたのでまた次回。
(2015年9月24日)