3月15日の記事に引き続き、僕がトロントで飲んだビールのレビュー記事です。
タイトルに「カナダのいろんなビール」と書いたにもかかわらず、今回紹介する10本のうちカナダのビールは3本だけです。すみません。これは僕がカナダのビールに飽きてしまった‥からではなく、カナダにおいてはインポートビールも数多く入手できるので、そちらに興味が移ったためです。
しかし、これまでビールを30種類ほどレビューしてきましたが、表現することの難しさ、自分の語彙力のなさを痛感している次第です。僕はそのビールについて「苦味の有無」「コクの有無」といった程度でしか判断できず、大したことレビューしてません(本来は「酸味」「甘味」といった点も考慮するポイントです)。お恥ずかしい。多彩な言葉を使って的確な食レポをやるライターさんはすばらしいと切に感じます。
SAULTER STREET BREWERY RIVERSIDE PILSNER(ソールターストリートブルワリー・リバーサイドピルスナー)
トロントにブルワリーを持つソールターストリートのピルスナー。苦くはないですが独特の香ばしさというかモルト感があります。例えるなら前回の記事で書いたスチームホイッスルのような「苦くはないけどクセがある感」。好みが分かれるところだと思います。LCBOのサイトいわくチェコスタイルのビールだそうです。チェコのビールって皆こんな風味なのでしょうか。個人的にあまり好きではないかな。
CALEDON HILLS VIENNA LAGER(カレドンヒルズ・ビエナ・ラガー)
トロントのはずれにあるカレドンヒルズ・ブルワリーのラガービール。カナダのビールのはずですが「VIENNA」(=ウィーンの)ビールであるようです。LCBOのサイトいわく「ナッツとはちみつの」風味がするようですが、よくわかりません。不思議な後味のするビールです。
Old Style Pilsner(オールドスタイル・ピルスナー)
ずいぶんシンプルな名前のビールです。カナダを代表するビール会社・モルソンが製造する、名前のとおりシンプルな味わいのピルスナーです。同じくモルソンが出しているカナディアンより、ほどよい苦味とコクがあります。ピルスナーの王道を行くビールだと思います。飲みごたえがあり、個人的にカナディアンよりこちらのほうが好みです。
Carlsberg(カールスバーグ)
もはや説明不要のデンマークのビール。Loblaws(お酒も売っているカナダの大手スーパーマーケット)で2.1ドルという破格の値段で売っていました。ラガービールの典型的な苦味とコクを感じます。同じくヨーロッパ産のビールでおなじみ、ハイネケンよりは苦味が抑えられています。LCBOのサイトでは「Light Bodied」と記載されていますが、言うほどライト系ではないと個人的には思います。とにかく安いというのが強みでしょうか。
STELLA ARTOIS(ステラ・アルトワ)
ベルギー産のラガービール。個人的にこのビールはひさびさのクリーンヒットでした。苦味はほとんどありませんが、口にじわりと広がり、鼻に抜ける風味豊かな味わいがたまりません。これがベルギーのビールというものか‥。ベルギービール初心者にもおすすめです。アルコール度数は5%。
grolsch PREMIUM LAGER(グロールシュ・プレミアムラガー)
なんと1615年から歴史のあるオランダのラガービール。苦味はあまり感じず、口に含んだ時にほのかに口に広がるコクが心地よいです。プレミアムラガーとのことですが、日本のプレミアムビールと似ているような似ていないような‥。どちらかというとライトな飲み口ですから、何杯でも飲めてしまえそうなビールです。日本でも普通に手に入るようです。アルコール度数は5%。
TATRA BEER(タトラビール)
ポーランドのラガービール。苦味はなく、かなり軽い飲み口のビールです。500mlの1本で2.15ドルという破格の安さも魅力かもしれません。個人的に、特別美味い!というほどのビールではないですが。金がない時に買おうかなというビールです。
TUBORG GOLD(ツボルグ・ゴールド)
デンマーク産のピルスナー。苦くはないが、口いっぱいに広がるコク‥。というと上述のベルギー産のビール、ステラアルトワが思い起こされます。北欧産のビールってどれも質が高いですね。クセがないので何杯でも飲めてしまえそうです。このビールを生産するツボルグは、カールスバーグの子会社らしいのですが、個人的にはカールスバーグよりこちらの方が美味しく感じます。ステラアルトワと同じく、北欧産のビールを飲んでみたい方におすすめ。
kronenbourg 1664 BLANC(クローネンブルグ・1664・ブラン)
1664年創業という極めて長い歴史を持つフランスのブルワリー、クローネンブルグのピルスナー。ブラン(フランス語で「白」)と名付けられているとおり、非常に軽い飲み口で、一口くちにすれば誰しもが「フルーツジュースかっ!?」と思ってしまうほどフルーティな味わいです。絶対女性に人気があるビールだと思います。苦いビールとは対極に位置する存在ですが、僕はこういうビールも結構好きです。おすすめ。
HOLSTEN MAIBOCK(ホルステン・マイボック)
ビールの本場・ドイツのビール。「いろんなビールを飲み比べてみた」ではじめて取り上げるドイツ産です。IPAなどとはまた違う、独特の苦味がいつまでも尾を引くビールです。LCBOのサイトに「ミディアム~フルボディ」と書かれており、苦味とともに少し重めの風味を感じます。アルコール度数も7.0%と少し高め。個人的にあまり好きではないです。ビールの本場に申し訳ないですが‥。
今回は前回の記事より少ないですが10本のビールを紹介しました。10本すべてがラガービールになってしまいました。どうもエールに手が伸びず、ラガーばかり飲んでいました。ラガーが好き(日本人はたいていそうだと思います)だからということもありますが、エール独特のグレープフルーツのような苦味がどうも苦手で、無意識にエールを避けていたようです。今まで「苦いビールが好き」と公言してきたものの、エールの苦さとラガーの苦さはまったく別物で、エールは受け入れ難かったです。カナダにはIPAをはじめたくさんのエールが流通しており、現地の人々から人気を得ていますが、僕はその風土に合いませんでした。
2回に渡りお送りしてきたビールレビューは、今回で最終回とさせていただきます。様々なビールが手に入るトロントですが、日本においても、デパートやちょっと高級なスーパーに行けば海外のビールが置いてあるものです。大手4社のビールばかりを飲むのではなく、いつもと違ったビールを手にすれば、新しいビールの世界が開ける‥かもしれません。