旅行メディア「itta」さんに記事「【熊本】特急「A列車で行こう」に乗って、40分の大人な旅に出かけよう」を書かせていただきました。
こちら(はてな)では、ittaさんで使わなかった写真を使いつつ、裏話というか、あちらで書かなかったことをお話したいと思います。
ittaさんでなにを書こう?
ittaさんへ寄稿するネタとして「日奈久温泉」「唐津散策」をことごとくボツにした僕は、一般にウケやすく、さはさりながら「情緒あふれる」「レトロで」「オツな」僕の好みを多少なりとも反映できるネタとはいったい何なのか、思案する日々を送っていました。自分の色を出せずに、ただただありがちな観光地レポートをやってしまってはあまり意味がないと思え、しかしいったい何を書いたらいいのか、袋小路にはまりました。
そんな中で思いついたのが、僕の好きな「特急列車」を題材にするということ。特急列車については過去に「東京譚」で
僕は特急が好きだ。特急の車窓はバカでかく、幅が1m以上もある。通り過ぎる景色を見てくれと言わんばかりだ。縦横数十cmしかない新幹線との窓とは大きく違っている。流れる景色は、当然美しいものばかりではなく、単なる住宅街だったりすることも多い。そんな景色とも言えない景色を、酒でも飲んでぼんやり眺めるのが好きなのである。
晩白柚東京譚 2016年12月18日 湯けむりにふすぼりもせぬ月の貌
と書いたとおりですが、熊本駅からわずか40分で目的地に辿り着くという、もはやどこかへ向かうことは目的ではなく、特急に乗っていること自体がひとつの短編映画を楽しむかのような、そんな特急を見つけました。それが「A列車で行こう」です。
A列車で行こう
「A列車で行こう」最大の特徴は、1号車に設けられたバー「A-TRAIN BAR」です。
ビール、ワイン、ノンアルコールのほか、おつまみやアイスが販売されています。ハイボールにいたっては、期間限定品を含めると4種類も用意されているという力の入れ具合。
ittaさんの記事では隠していましたが、正直言うと僕はハイボールが好きではありません。しかしレポートしないわけにもいかないので、デコポンを使った「”A”ハイボール」をいただきました。ハイボールはウィスキー独特の後味が喉に残るのが苦手なのですが、この「”A”ハイボール」はデコポンの風味がそれをかき消してくれるようで、意外や意外、飲みやすかったです。
しかし走行時間40分というのは実に短いです。昔、東京駅から長野県の妻籠宿まで3時間、特急「あずさ」「しなの」に乗った時はビールの酔いがまわって、道中の半分はうつらうつら車窓の景色を楽しみつつ、もう半分は寝ていたように記憶しています。特急はそれぐらいの時間は乗っていたいものです。
そして特急といえば目的地で流れるオルゴールチャイム。あれが聞けないのは、少しさびしい気がします。この列車では常にジャズナンバー「A列車で行こう」がBGMとして流れていて、大人な雰囲気を醸すのに一役買っているのですが、特急の車内で流れる音楽としては自分の感性とちょっと違うかな、という印象です。
福神さんでうに丼をいただく
三角駅で「A列車で行こう」を降り、連絡船で松島へ。人気海鮮料理店「福神」さんを訪ねました。
なにはともあれビールを注文します。自ら車をドライブして来たのでは選ぶことのできない選択肢です。真っ昼間からこういったことができるから、列車の旅はやめられません。
調子に乗って、特上うに丼(3,600円)を注文してしまいました。
男ひとりでイルカウォッチングへ
最後に、松島から出るクルーザーに乗ってイルカウォッチングに参加しました。これはここに書いていいのかわかりませんが‥、記事を書くためだけに参加したのであって、イルカウォッチングなどまったく興味ないというのが本音です。
30歳の男が、カップルや親子連れに混じって一人でイルカウォッチングに参加していたら、それはもう狂気としか言いようがないでしょう。僕の書いた記事がデートや一家団欒に一役買ったならこれ幸い、そういう思いです。催行業者さんの名誉のために申し述べておきますが、非常に楽しめたのは事実です。
特急列車への思いがより強まる日帰り旅行でした。帰りの「A列車で行こう」車内、青りんごを使った「”G”ハイボール」を飲みながら、僕は思うのでした。嗚呼、もっと特急に乗りたい‥。
2018年1月7日