前回に引き続きカンボジア旅行記をお送りしています。
オールド・マーケットで朝食
カンボジアは4日目。最終日です。
昨日までにアンコール・パスを使い果たしてしまいました。もうアンコールの遺跡群を訪れることはできません。20時過ぎの日本に戻るフライトのため、サマスさんに18時に送迎をお願いしています。それまでいったい何をして過ごせばいいのか‥。ベッドに仰向けになり、天井をぼおっと見つめながら考えます。天井にぶら下がった扇風機が首を振りながらブー‥ンと寂しい音を発しています。
「オールド・マーケットを冷やかしたあとに、博物館にでも行ってみるか‥。」
4日間お世話になったタケオゲストハウスに別れを告げます。ゲストハウスのわりに同居人の存在が皆無だったので、少し寂しかったというのが率直な気持ちです。いや同居人といえば、2日目の夜にシャワールームに現れた特大のバッタがいたか。
ふっ‥と笑いがこみ上げたところで、ゲストハウスを後にしました。
オールド・マーケットは昨夜タクミくんと遊んだパブ・ストリートの南側に位置します。歩いて20分もかからないほどでしょうか。トゥクトゥクを使ってもよいですが、節約します。
一昨日訪れたプサ・ルーよりもその規模は小さめ。しかし生肉や発酵食品を並べた一画に近づくと、あの時嗅いだのと同じ強烈な臭いが鼻の奥を刺激します。
マーケットの一画にある食堂で遅めの朝食。1日目にも食べたロック・ラックとココナッツ・シェーキ。シェーキは乾いた喉を潤すのにたまらなく良いです。
時間があり余っているので、シヴォタ通りにあるショッピングセンター「ラッキー・モール」に寄り道をします。1階に食料品売場・2階にハンバーガーショップ・3階に書店などが並びます。日本によくあるようなショッピングセンターとその雰囲気はまったく同じです。食料品売場でスプライトを買い、ハンバーガーショップのベンチで1時間ほど昼寝。
暇過ぎてアンコール国立博物館へ
これほどまで時間を持て余してしまうとは思いもよらなかったわけですが、他にすることもないので、さっそく今日の最終目的地である「アンコール国立博物館」へ向かいます。
こんなことなら、昨日の夜、派手に金を使ってしまうんではなかった‥(パブ・ストリートで起こった出来事の一部は、はてなブログに記載するにはあまりにもひどい内容のため、前回の記事では一部省略しています)サマスさんにトンレサップ湖にでも連れて行ってもらうんだった‥と悔やむ僕でした。
アンコール国立博物館は、タケオゲストハウスから歩いて10分ほどのところに位置しています。アンコール遺跡から出土した石像やレリーフが展示されています。途中途中で上映されるビデオは日本語音声に切り替えることができますが、出土品に添えられた説明文は基本的に英語かクメール語なので、博物館の雰囲気をなんとなく理解することしかできません。
最後はフルーツ・シェーキを飲み、博物館の中庭をぼーっと眺めながら18時の閉館を待つという有様でした。
最後のリーリー
「サマスさんが迎えに来るまでもう少し時間がある。こういう時は、リーリーだ」
3度目の大衆食堂、リーリー。おそらく最後になるであろうアンコールビールと、焼きビーフンのようなもの(名前は忘れました)。カンボジアで食べた料理は麺類が多かったですが、どの味付けも舌が唸りました。熊本にカンボジア料理店が見つからないのが残念でなりません。
あなたのおかげで
タケオゲストハウスに戻ると、サマスさんのトゥクトゥクが停まっているのが見えました。サマスさんは僕の姿が目に入るなり笑顔で手を振ってくれます。
「この人の屈託のない笑顔を見るのも最後だな‥。」
そんな思いがよぎって、何か涙腺が刺激されました。カンボジアのどこにでもいそうなおっさんで、どこか憎めない。それがサマスさんでした。
シェムリアップ国際空港のエントランスにトゥクトゥクを横付けして、サマスさんは僕を送り出してくれました。
サマスさんは僕に握手をしながら、
「またシェムリアップに来てくれよ。君と俺は、フレンズだ。いつでも呼んでくれ。気を付けてな」
僕はサマスさんの手をぐっと握り返しました。
「あなたのおかげで、すばらしい時間が過ごせました。僕はまたすぐに戻ってきます。お体に気をつけて。ありがとう。さようなら。」
(2017年9月15日)